しわくちゃの顔が、さっきまで般若のように見えていた磐田さんの顔が、本物の神様に見えた。
「288だよ」
「えっ?」
あゆみは何のことだかわからず目を見開いた。
「最高スコア、聞いたじゃろ」
「あ…」
磐田さんが、図面を見ながらふっと笑った。
「いつまでに出来るか、確認せんでいいか?」
磐田さんは、試すような顔であゆみに言った。
「やってくれるんですか!?ありがとうございます!!」
(やった!ボーリングの神様ありがとう!)
「お願いします!大至急なんです!いつまでに出来ますか!?」
「ふん、こんなもん、三時間もありゃ出来るわ」
「すごい!最高スコアもすごいけど!磐田さんすごい!ありがとうございます!すぐに小林部長に報告してきます!」
あゆみは磐田さんに思い切り頭を下げ、神様の部屋を飛び出して、階段を駆け上った。
自分は何にもしていないのに、なぜだか達成感でいっぱいだ。
タンタンタン、タンタンタン、足取りも軽い。
無意識に、エレベーターを使わず階段で上っているのは小林部長のせいかもしれない。階段も悪くないなとあゆみは思った。



