「磐田さん!ボーリング、好きなんですよね?!」




あゆみがさっきまでと同様に大声で叫ぶと、磐田さんの動きが一瞬、止まった。




(おっ…?反応あり…?)




「最高スコア、いくつですか?」




シューッと音がして、磐田さんの機械の動きが止まった。




(…おっ?止まった?)




駄目押しするように、あゆみはクーポン券の束と一緒に、図面を磐田さんの目の前にかざした。




「…磐田さん!お願いします!知ったこっちゃないなんて、言わないで下さい!磐田さんは、金属の神様なんでしょ?誰にもできない技術を持ってるんなら、使わなきゃもったいないです。わたしなんか…何にも出来ないただの元フリーターですけど…磐田さんは神様なんですから!」




思わず熱くなってしまった。磐田さんは、あゆみを見て変な物でも見るような顔をしている。



(なに言ってんだろ…元フリーターなんて、言わなくても良かったのに…。ていうか、いま言ったこと、意味不明だし…)




あゆみは恥ずかしくなって、下を向いた。





「もらっとくよ」




頭の上からしゃがれた声が聞こえた。




「えっ?」




あゆみが顔を上げると、あゆみの手元から、ボーリングのクーポン券と図面を磐田さんがすっと抜き取った。




「い…磐田さん!図面…。やってくれるんですか?!」