「石橋エリカ。営業事務のリーダーだから、なんでも聞くといいよ。仕事も速いし、得意先からの評価も抜群だ。営業事務のお手本だよ」



小林があゆみに言った。そうだろうなとあゆみは思った。彼女の口調や態度からは自信と余裕が溢れ出ていた。だいいち、こんな美人が得意先からの評価が悪いはずがない。



石橋エリカは小林の台詞を満足そうに聞いていた。彼女が小林を見詰める視線には、ただの上司と部下の関係とは思えない色っぽさがあった。小林と石橋エリカを交互に見る。美男美女とはこのふたりのことだなとあゆみは妙に感心してしまった。



「よろしくお願いします」



あゆみは深々と頭を下げた。



「それと、彼女。宮間さんは資材事務のリーダーだから、資材のことは彼女に聞くといい」



小林が肩に手を置いたのは、作業着のジャケットにデニムパンツ姿のショートカットの若い女性社員だ。肩に手を置かれてあからさまに嫌そうな顔をしながら、「どうも」とあゆみに視線を送る。



「宮間沙耶です。よろしく」



焼けた肌にショートカットがよく似合っている。見る限りほとんどすっぴんなのにも関わらず、清潔感のあるスポーツ選手のような雰囲気の女性だ。


「よろしくお願いします」


あゆみが頭を下げると、宮間沙耶はにこっと爽やかに微笑んだ。