オフィスの視線があゆみに集まると、あゆみは慌てて頭を下げた。



「…桜庭あゆみです!よろしくお願いします!」



珍しいものを見るような目であゆみを眺める女性社員たちの間から、小声で囁くようにあゆみを品定めする会話が聞こえてきた。



「新卒…?」



「もうちょっと上かもっと若いかも…」



「部長の補佐って言わなかった…?」



「何かの間違いじゃない。部長が補佐付けるなんて聞いてないわよ」



いったいどういうことなの?とでも言いたそうに、あからさまにあゆみを睨んでいる女性社員もいた。

物珍しそうにあゆみを眺めているのは年配の女性たちで、怪訝な表情を浮かべているのは主に若い女性社員たちだ。




「どの分野の仕事でも出来るように、彼女に教育をして欲しい。質問されたことには丁寧に答えてやってくれ。もちろん、俺も彼女をこれから教育していくつもりだけどな」



小林が、女性社員たちを見回して言った。

若い女性社員たちは明らかに、小林の視線を意識しているようだった。



「頼むよ、石橋さん」



小林に石橋さんと呼ばれた若い女性社員は、中でもトップクラスの美人でスタイルも抜群だ。短めのタイトスカートに細いヒールのパンプス、薄手のブラウスは肩から手首にかけての生地が透けていてやけにセクシーだった。彼女と目が合うと、あゆみはそのあまりの綺麗さにどきりとした。



「任せて下さい、部長。なんでも聞いてね、桜庭さん」


アナウンサーのようによく通る、綺麗な声だった。