カーテンを開けて窓から外を眺めると、車の窓から小林部長が顔を出していた。約束の時間の十分前。





(いつもは遅刻ばっかりなのに…。変なの)




慌ててバッグを掴んで外へ出る。





「お…おはようございます!」





運転席のドアが開き、小林部長がすっと車の前に立つ。





(わ…かっこいい…)





いつものスーツ姿とは違う小林部長。デニムにさらりと着こなしたシャツ、ほんの少し開いた襟元から覗く首がなんだか妙にセクシーだ。あゆみは思わず立ち止まって見惚れてしまう。小林部長と目が合うと、心臓の音がドキドキとうるさい。





「へえ…。いいじゃん」





「…えっ?」





小林部長があゆみを上から下までまじまじと眺めている。腕組みをして、うんうんと頷きながら言う。





「似合ってるよ。そういう格好するといつもと違う女みたいだ。うん、可愛い」






(か…可愛い?本気で言ってるのかな…?)





「乗れよ、あゆみ。今日からお前の指定席だ」





小林部長がふっと笑う。あゆみの心臓はバクンと跳ねた。