「あ…、あのー…」
「なんだよ。あの、とかその、とか…、はっきり言えよ」
確実に苛立っている小林部長。勇気をだしてあゆみは言った。
「あの…、小林部長って、わたしのこと…、す…」
「…す?なんだって?」
言えない。やっぱりこんなこと聞けない。
そりゃあ、あゆみって名前で呼ばれているし、社員旅行のときには酔っ払ってキスもされたし、所有物なんて言われて、今もこうして普通にデートに誘われて。
なんとなく小林部長のそばにいていいのかな、なんて気にはなっているけれど。
「好きだ」なんて、一度も言われてはいないのだ。
「いえ…なんでもありません」
(聞けなかった…)
「明日の朝、8時に迎えに行くからな」
「え、8時って、はやくないですか?!」
「なんだよ、文句あるか」
「いえ、ないです」
「せっかくの日曜日なんだから、ゆっくり一緒に過ごしたいだろ」
(…えっ。何それ…。嬉しい…)
「小林部長…」



