「あはっ。高松くん、あたしの下の名前知ってたんだー!」




一瞬驚いた彼女が、ふわっと爽やかに笑う。

怒ってないんだな、やっぱり天使だと感動してしまう俺。

なんと返事をしていいかわからず黙ってしまう。何か言わなくては!これじゃ変態じゃねーか!




「さ、沙耶ちゃんって、か、可愛い名前だなと思って…!」




しどろもどろで噛みまくりの俺。

妄想ならこんなキザな台詞もさらっと言えるのに、現実はそんな甘いもんじゃない。




「やだー!沙耶ちゃんとか、キャラじゃないし、サヤでいいよ!あたしもさ、高松くんのこと、マツって呼んでいい?」




可愛い笑顔でそう言われると、「いや、妄想の中では大介のダイチャンと呼ばせてました」なんてもちろん言えない。呼び捨てにしていいとか本気ですか。

高松のマツ。ちょっとSっ気のあるその感じもたまんねーよ、沙耶ちゃん。




「お…おう。マツでいいよ、サヤ」




う…うおーーー!!

呼んでしもたーーー!!

サヤ、サヤ、サヤーーー!!

可愛いすぎるぜサヤ!!