そう言った宮間さんは、すごく綺麗だった。あゆみは心の底から嬉しかった。
大好きな宮間さんが、幸せになってくれることが。
会社に着くまでのあいだも、あゆみは顔がにやけてしまって仕方なかった。
「おはようございます!」
いつもより、少しだけ元気な挨拶をして給湯室へ向かう。
ポットのお湯が、減ったままになっている。浪岡さんが、来ていない証拠だ。浪岡さんの病気は大丈夫だろうか。今日、笹原主任が一緒にお見舞いに行ってくれると言っていたから、宮間さんも誘ってみようかなとあゆみは考えた。
「…あれっ?ない?」
給湯室の、いつもあるはずの場所に、小林部長のマグカップが見当たらない。
(…おかしいな…。きのう、片付けるの忘れてたのかな…)
小林部長が飲み終えたマグカップを洗うのも、いつもあゆみがやっている。もともと紙コップしか使わなかった小林部長は、飲み終えたカップを片付けるという習慣がないのだ。あゆみは社長室を探してみた。けれどやっぱり見当たらない。
(…どこに行っちゃったんだろう…)



