「…ん?あ、ああ。してないよ、なんにも。おかしいよね、アイツさ、あんな見かけだけど意外とピュアなとこあるんだよね」
宮間さんは、けらけらと笑っている。なんだかすごく幸せそうだ。
「あたしね、マツにプロポーズされたんだ」
「えっ?!プロポーズ?!」
だってまだ、付き合ってもいないふたりなんじゃなかったの?あゆみの頭の中はハテナとびっくりマークでいっぱいだ。
「うん。プロポーズ。びっくりでしょ?結婚するまでエッチはしないとか言ってさ。ロマンチストかっつうの」
(マツさんと、宮間さんが、結婚?!…えええーーっ!!)
「あ…、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
あゆみと宮間さんは、お互いに顔を見合わせて笑った。
「結婚式は、しないつもりなんだけどね。仲が良い人だけで、飲み会でもしようかなって」
宮間さんは、あはっと笑って、「あゆみちゃんのおかげかも」と言った。あゆみはえっと驚いた。
「なんでですか?わたし、なにも…」
「あたし、素直じゃないから。言ったよね、マツのこと、大好きだって。あんな風に、言葉に出したのも初めてだったの。言ってみて、気付いたみたいな。だから、あゆみちゃんのおかげかもなって」
「そんな…わたしはただ…」
「ありがとう。あゆみちゃん」



