翌朝、前日の箱詰め作業が効いたのか、もれなく全身筋肉痛に見舞われたあゆみは、危うく電車に乗り遅れるところだった。





「おはよ、あゆみちゃん。昨日は大変だったみたいね。マツから聞いたよ」




いつもの車両に滑り込んだあゆみに、宮間さんが声を掛ける。




「そうなんですよ…いてて。あー肩が上がらない…。あ、あれ?なんでもう知ってるんですか」




昨日の残業が終わったのは9時を過ぎてからだった。それ以外の社員はとっくに帰宅していたし、宮間さんもそれは同じだ。それなのにどうして今朝の時点で昨日の残業のことまでもう知っているんだろう。マツさんと電話か何かで話した、ということだろうかとあゆみは勝手に解釈することにした。





「ああ、実は昨日、マツがうちに来た」




「えっ」




「あの社員旅行以来、たまに来るのよね」



(…えええーーーっ?!!)





家に来る、なんて簡単に言うけれど、大人の男女が家を行き来する、というのはもう、そういうことだと解釈してしまっていいのだろうか。確かにふたりはいつそうなってもおかしくないくらい、仲が良かったのは事実だけれど。



「あ…あのう…それって…」