あゆみは思わずふふっと笑った。丸っこいおじさんがウインクをする姿はなかなか可愛いし、周さんのおかげでなんだか緊張がほぐれたような気がする。
社長がお茶目な人でよかったとあゆみは思った。
「変わり者か。周さんのほうがよっぽど変わり者じゃないか」
小林は拗ねたように言った。周さんがふふっと笑う。
「ハヤトは変わり者だし、それにチョット変態だよ」
「やめろって。周さん、日本語ヘタすぎ」
小林が大袈裟に溜め息を吐き出すと、周さんがわっはっはと笑った。
周さんは、小林部長が好きなんだろうなとあゆみは思った。ふたりのやりとりは楽しそうでなんだか心がほわっとする。
「あゆみちゃん、行こう。周さんの相手をしていたら、夜になっちゃうから」
小林部長が立ち上がり、応接室の扉の前であゆみに向かって手招きをしている。慌てて小林を追いかけるあゆみに周さんは手を振って、「今度、ハヤトと一緒に飲みに行こう」とニコニコ顔で見送った。



