そう思って音がしたほうを見ると



「…栗原さん?」


「…辰野。」



彼ではなかった。

たぶん辰野と

話すのは御守り以来。


「栗原さんはこの時間まで

いつもいるの?」


「うんそうだよ。

でも辰野はなんでここに…?」


すると辰野は

机の中にあったノートを見せた。


「塾でさもうすぐテストあんだ。

でもノートを忘れたから

戻ってきた。」


彼は八重歯を出した。

彼の笑顔はやっぱりかわいい。