1人でも平気だった。
キミに会うまでは。
…キミがあたしを変えたんだよ。
楽しいはずの家族旅行
雨の音さえキレイな音楽に聞こえた。
あの時までは…
パパが運転する車が雨でスリップして
トラックと衝突した。
「目が覚めた?」
聞き覚えのない声のほうを向くと
見た事もない人
その服装から看護師さんだなと分かる。
わけもわからずキョトンとするあたしに告げられたのは
信じられない現実だった……。
両親が死にあたしの顔には消えない傷が残った。
前の学校の友達はあたしに気を使ってるのかあの事故以来よそよそしくなった。
友達?
あたしは心友だと思ってた。
友達よりもっと深く
もっと大切な存在。
彼女達もそうだと信じてた。
あたし達は
ずっと一緒で
ずっと心友
疑いもしてなかったよ。
あたし達の友情。
あたし達の関係。
ずっとずっと
4人は一緒だと思ってた。
子供だったのかもしれない。
だけど。
あの頃のあたしには
それが全てで
あそこがあたしの大切な場所だった。
なくなる事なんて
ないと思ってた。
あたしの大切な場所。
大好きなみんな。
事故の前日まで笑いあってふざけあってた。
いつもの4人。いつものメンバー。
いつもニコニコしてる癒し系のミク
盛り上げ役のルイ
口は悪いけど頼れるお姉さんみたいなトモ
そしてあたし北山ナオ
気づけばいつも一緒に居たね。
あたしに彼氏が出来た時も
自分の事のように喜んでくれた。
ミクに彼氏が出来た時も
あたし本当に嬉しかったんだよ。
ルイが振られた時は
本当に悲しかったし
トモに好きな人が出来た時は
心から応援したよ。
だって
あたし達
みんな
みんなを
大好きだったよね?
あたしだけじゃないよね?
4人同じ気持ちだったよね…
4人と同じくらい大切だった。
大好きな彼氏。
サッカー部。
サッカーが大好きで
サッカーの話をすると周りが見えなくなっちゃうような人。
サッカーバカなんて言われてた。
あたしの事、サッカーの次に大事なんて言っちゃう奴。
…でも大好きだったハルト。
「俺達ずっと一緒だよな。」
寂しがりやのハルト。
心友達も口を揃えて言った。
「ハルトってナオの事大好きだよね!」
あたしも大好きだった。
サッカーの話してるハルトも
寂しがりやのハルトも
あたしを大好きなハルトも
ずっと一緒に居れると思ってた。
まだ16歳のあたし達だけど
もう
ハルトが
最初で最後の恋でよかった。
パパとママ
いつもあたしを1番に考えてくれてた。
ママはいつもあたしが帰ってくるまで
ご飯を食べなかった。
パパは仕事で遅い時があったけど
ママは
あたしと
いつも一緒にご飯を食べた。
だからあたしも夜はなるべく家に居た。
ママが大好きだったから。
パパは仕事が遅くても
朝は必ずあたしを待ってた。
「ナオと駅まで一緒に行けるのがパパの楽しみなんだよ。」
そう言って毎朝あたしと駅まで歩いた。
クラスメイトは
「親父キライ」
「ウザいよね」
なんて言ってたけど
あたしは全然そんな事思わなかった。
パパも大好きだったから。
だから
ママの誕生日
あたしとパパは
ママが大好きだった
あの海を見に行こうって
決めたんだ。
大好きなパパの
大好きなママの
誕生日に
まさかあんな事になるなんて
これっぽっちも思わずに…
大切な人の為に
あの日あたし達は…
確かにあの日あたしは幸せだった
心友と彼氏。
優しい両親。
毎日がただ楽しかった。
笑って泣いて
そこにはいつも
同じ顔があった。
大切な場所。
大好きな人。
ずっと続くはずだった。
ずっと続くと思ってた。
あの日がなければ…
全部
全部過去の事。
もうあの頃には戻れない。
両親も。
あたしの顔の傷も。
……全部現実。
もう。
あたしには何もない。
信じられる友達も。
大好きな彼氏も。
頼れる両親も。
事故にあってから
始めて学校に行ったあたし。
傷を見ても
みんな変わらないと思ってた。
顔に傷があるだけで
あたしはあたし。
何も変わらないんだから。
「おはよっ。」
いつもみたいに教室に入るあたし。
いつもと同じ朝。
でも
周りは違ってた。
教室に入ったあたしを
みんなが一斉に見た。
目をそらす子。
ヒソヒソ話をする子達。
想像はしてたけど
結構、キツイ。
でも平気。
あたしには心友がいるから。
3人を見つけて
あたしは駆け寄った。
「おはよーみんな。」
「…。」
「…。」
「おはよう」
あたしはもう1度言ってみた。
「おはよ。」
3人とも目を合わせない。
あたしは訳がわからず3人を見た。
でも
あたしを見てくれない。
長い沈黙。
誰も口を開かない。
そのうち
ガラッ
と教室の戸が開いて
担任の先生が入って来た。
3人は駄まったまま席に着く。
あたしも自分の席に腰を下ろした。
何かの間違いだよね?
きっと休み時間になれば
またいつもみたいに
笑ってふざけるよね。
チャイムが鳴って
休み時間
あたしは3人のところに
駆け寄った。
でも
やっぱり目を合わせてくれない。
「ねぇ…」
あたしの話をさえぎるように
ルイが言った。
「あたし無理っ。」
そう言い残して教室をでるルイ。
追いかけるミクとトモ。
無理?
何が?
あたしの傷?
ルイの言葉の意味を考えながら
あたしはハルトの姿を探してた。
ハルトに相談したい。
話を聞いて欲しい。
廊下を歩いていると
見覚えのある後ろ姿。
「ハルトっ!」
駆け寄るあたしが見たものは
ハルトの困ったような顔。
「ハルト…?」
あたしの呼ぶ声に
ハルトはもっと困った顔になった。
「ナオ…。」
長い沈黙。
やぶったのはあたし。
「ハルト…あのね…。」
「ゴメン、ナオ。夜電話するから。」
そう言って背を向けたハルト。
その夜、
ハルトからの電話はなかった。
どうして?
あたしはあたしだよ。
この傷が
あたしをあたしじゃなくしたの?
次の日も
学校には行ったけど
同じだった。
誰もあたしと話をしない。
目も合わせない。
心友達も。
ハルトも。
信じてた。
あたし達は何も変わらないって。
でも
こんなにも
簡単に
壊れてしまう。
友情も
愛情も
だからあたしは決めたんだ。
誰も信じない。
心を開かない。
そうすれば。
傷つく事もないから……
キミに会うまでは。
…キミがあたしを変えたんだよ。
楽しいはずの家族旅行
雨の音さえキレイな音楽に聞こえた。
あの時までは…
パパが運転する車が雨でスリップして
トラックと衝突した。
「目が覚めた?」
聞き覚えのない声のほうを向くと
見た事もない人
その服装から看護師さんだなと分かる。
わけもわからずキョトンとするあたしに告げられたのは
信じられない現実だった……。
両親が死にあたしの顔には消えない傷が残った。
前の学校の友達はあたしに気を使ってるのかあの事故以来よそよそしくなった。
友達?
あたしは心友だと思ってた。
友達よりもっと深く
もっと大切な存在。
彼女達もそうだと信じてた。
あたし達は
ずっと一緒で
ずっと心友
疑いもしてなかったよ。
あたし達の友情。
あたし達の関係。
ずっとずっと
4人は一緒だと思ってた。
子供だったのかもしれない。
だけど。
あの頃のあたしには
それが全てで
あそこがあたしの大切な場所だった。
なくなる事なんて
ないと思ってた。
あたしの大切な場所。
大好きなみんな。
事故の前日まで笑いあってふざけあってた。
いつもの4人。いつものメンバー。
いつもニコニコしてる癒し系のミク
盛り上げ役のルイ
口は悪いけど頼れるお姉さんみたいなトモ
そしてあたし北山ナオ
気づけばいつも一緒に居たね。
あたしに彼氏が出来た時も
自分の事のように喜んでくれた。
ミクに彼氏が出来た時も
あたし本当に嬉しかったんだよ。
ルイが振られた時は
本当に悲しかったし
トモに好きな人が出来た時は
心から応援したよ。
だって
あたし達
みんな
みんなを
大好きだったよね?
あたしだけじゃないよね?
4人同じ気持ちだったよね…
4人と同じくらい大切だった。
大好きな彼氏。
サッカー部。
サッカーが大好きで
サッカーの話をすると周りが見えなくなっちゃうような人。
サッカーバカなんて言われてた。
あたしの事、サッカーの次に大事なんて言っちゃう奴。
…でも大好きだったハルト。
「俺達ずっと一緒だよな。」
寂しがりやのハルト。
心友達も口を揃えて言った。
「ハルトってナオの事大好きだよね!」
あたしも大好きだった。
サッカーの話してるハルトも
寂しがりやのハルトも
あたしを大好きなハルトも
ずっと一緒に居れると思ってた。
まだ16歳のあたし達だけど
もう
ハルトが
最初で最後の恋でよかった。
パパとママ
いつもあたしを1番に考えてくれてた。
ママはいつもあたしが帰ってくるまで
ご飯を食べなかった。
パパは仕事で遅い時があったけど
ママは
あたしと
いつも一緒にご飯を食べた。
だからあたしも夜はなるべく家に居た。
ママが大好きだったから。
パパは仕事が遅くても
朝は必ずあたしを待ってた。
「ナオと駅まで一緒に行けるのがパパの楽しみなんだよ。」
そう言って毎朝あたしと駅まで歩いた。
クラスメイトは
「親父キライ」
「ウザいよね」
なんて言ってたけど
あたしは全然そんな事思わなかった。
パパも大好きだったから。
だから
ママの誕生日
あたしとパパは
ママが大好きだった
あの海を見に行こうって
決めたんだ。
大好きなパパの
大好きなママの
誕生日に
まさかあんな事になるなんて
これっぽっちも思わずに…
大切な人の為に
あの日あたし達は…
確かにあの日あたしは幸せだった
心友と彼氏。
優しい両親。
毎日がただ楽しかった。
笑って泣いて
そこにはいつも
同じ顔があった。
大切な場所。
大好きな人。
ずっと続くはずだった。
ずっと続くと思ってた。
あの日がなければ…
全部
全部過去の事。
もうあの頃には戻れない。
両親も。
あたしの顔の傷も。
……全部現実。
もう。
あたしには何もない。
信じられる友達も。
大好きな彼氏も。
頼れる両親も。
事故にあってから
始めて学校に行ったあたし。
傷を見ても
みんな変わらないと思ってた。
顔に傷があるだけで
あたしはあたし。
何も変わらないんだから。
「おはよっ。」
いつもみたいに教室に入るあたし。
いつもと同じ朝。
でも
周りは違ってた。
教室に入ったあたしを
みんなが一斉に見た。
目をそらす子。
ヒソヒソ話をする子達。
想像はしてたけど
結構、キツイ。
でも平気。
あたしには心友がいるから。
3人を見つけて
あたしは駆け寄った。
「おはよーみんな。」
「…。」
「…。」
「おはよう」
あたしはもう1度言ってみた。
「おはよ。」
3人とも目を合わせない。
あたしは訳がわからず3人を見た。
でも
あたしを見てくれない。
長い沈黙。
誰も口を開かない。
そのうち
ガラッ
と教室の戸が開いて
担任の先生が入って来た。
3人は駄まったまま席に着く。
あたしも自分の席に腰を下ろした。
何かの間違いだよね?
きっと休み時間になれば
またいつもみたいに
笑ってふざけるよね。
チャイムが鳴って
休み時間
あたしは3人のところに
駆け寄った。
でも
やっぱり目を合わせてくれない。
「ねぇ…」
あたしの話をさえぎるように
ルイが言った。
「あたし無理っ。」
そう言い残して教室をでるルイ。
追いかけるミクとトモ。
無理?
何が?
あたしの傷?
ルイの言葉の意味を考えながら
あたしはハルトの姿を探してた。
ハルトに相談したい。
話を聞いて欲しい。
廊下を歩いていると
見覚えのある後ろ姿。
「ハルトっ!」
駆け寄るあたしが見たものは
ハルトの困ったような顔。
「ハルト…?」
あたしの呼ぶ声に
ハルトはもっと困った顔になった。
「ナオ…。」
長い沈黙。
やぶったのはあたし。
「ハルト…あのね…。」
「ゴメン、ナオ。夜電話するから。」
そう言って背を向けたハルト。
その夜、
ハルトからの電話はなかった。
どうして?
あたしはあたしだよ。
この傷が
あたしをあたしじゃなくしたの?
次の日も
学校には行ったけど
同じだった。
誰もあたしと話をしない。
目も合わせない。
心友達も。
ハルトも。
信じてた。
あたし達は何も変わらないって。
でも
こんなにも
簡単に
壊れてしまう。
友情も
愛情も
だからあたしは決めたんだ。
誰も信じない。
心を開かない。
そうすれば。
傷つく事もないから……
