眠り姫

涙が止まらなかった。



「…だからね、もう楽にしてあげたい。」


「そう…ですか…」



それしか言えなかった。





すると、ずっと黙って俯いていたおじさんが


「わたしはね、最初は反対したんだ。奈々は生きている、なぜ死なせなければいけない、とね。」



おじさんは泣いていた。


初めて見るおじさんの涙。



「1ヶ月ほど前にね、奈々に会いに行ったんだ。もちろん君がいた。奈々の手を握って楽しそうに喋りかける君を見ていた。」


「全然気づけぇへんかった…」


「はははっ。無理もないさ、2人だけの世界って感じがしたからね。…その時に主治医の先生と話をしたんだよ。奈々はどうなのかって。そしたらね、目を覚ますことはもう無いと。延命というのは無理矢理心臓を動かしているから。やめたら奈々の心臓は止まると。」


「俺は…奈々に無理させてたんですね」


「いやいや!それは違うよ!君の希望は私たちの希望でもあったから。」



「保徳くん…?私はね、あなたに感謝してるのよ?奈々をここまで見守ってくれて、見捨てないでくれた。奈々も幸せだと思うわ?」




おじさんもおばさんも、俺に感謝していると言ってくれた。