崇彦はそんな美琴の腕をガシッと掴むと、歩き始めた。
美琴は半ば引っ張られながらもついていく。
「あの....崇彦っ」
「なんだよ」
「さっきのはね、私のっ」
美琴がそれ以上言わないように、崇彦は掴んでいた右腕を強く握った。
「痛いっ」
「それ以上なにも話すな、黙ってろ」
崇彦は低い声でそう言うと、プイと前を向いた。
美琴はただ黙って、そんな崇彦について行った。
しばらくして、マンションに着いた。
「このマンションに入るのっ?」
「俺の家だからな。」
崇彦がそう言うと、美琴はまた黙った。
エレベーターで6階に上り、崇彦がある部屋の前で止まった。
そしてカギを開けて、美琴を中へ促した。

