その夜、私たちは例の学校に集まった。
もちろん、辺りは真っ暗で冷たい風が肌にあたる。
・・・ここまで来たけど、やっぱり怖いかも。
近くにお墓もあるし・・・!
このムード怖すぎだってばぁ。
肝だめしの参加を、後悔し始めた瞬間・・・。
「よし、全員集まったわね!まぁ、楽しみましょうっ!」
怖さなんか感じさせない部長の能天気な声が、今の私には温かく感じた。

「みんな、私の後ろを離れないでね!」
そう言いながら、校舎の中へと進んでいく。
真っ暗な校舎は、外よりもひんやりと感じる。
その時、辺り一面に風が吹き始めた。

・・・え?

ここは校舎の中。
風なんか吹くはずがない。
でも、しっかりと感じた。
風の吹く、かすかな音。
腕や足に感じるひんやりとした感触。
「ね、ねぇ。今、風が吹かなかった?」
と、そばにいた美紀にたずねる。
「え。もう何言ってんの?怖いこと言わないでよ!」
「でもっ!確かに今、風が・・・!」
「有紀の勘違いでしょ?」
その後、近くにいたみんなに聞いても、風なんか吹いていなかったと言う。
気のせい・・・だよね。
きっと、怖くて感じたんだよ・・・ね?
そう思い直し、部長の後を進んでいく。

それが、恐怖の前触れだとは知るよしもなく・・・。