あの子と会ったのは暖かい春の日だった―。


入学式という大切な記念日に、
珍しく寝坊してしまった僕は、
急いで電車に飛び乗った。
飛び乗ったは良いが、電車の床が
とても滑りやすくなっていて、
アニメのように勢い良く転んでしまった。
周りからは、くすくすと
声を殺したような笑いが聞こえた。
自分でも顔が赤くなるのが分かった....。

顔を伏せて黙っていた僕の頭の上から、
女の子の声が聞こえてきた。

「…大丈夫ですか....??」
恐る恐る顔を上げると、同じ制服を着た
お団子に結った髪が印象的の、
可愛らしい女の子が僕の顔を覗いていた。

僕「ぁ....えと....だ、大丈夫です....。
すみません....。みっともない姿を....」
女の子「ううん!!誰でもそれくらいあるよ!」
僕「あ、そうなんですか....」
女の子「うん、て、あれ?? その制服....
もしかして....君も笠松高校なの!?」
僕「あ、はい....。今日から1年です....。」
女の子「私も今日入学式なんだ~!!
君の名前は??私は、橘 梨花!!」
僕「橘さん....。あ、ぼ、僕の名前は....。
えっと....あの。。。」
梨花「ん??どうしたの??」
僕「えっと....五十嵐 小雪....です。。。」
梨花「小雪君か~!!よろしくね( *ˆ﹀ˆ* )♪」
小雪「....名前....笑わないんですか…??」
梨花「ぇ....笑う??なんで…??」
小雪「だって…女の子みたいだから....」
梨花「女の子みたいだからって、
笑う意味なんてないよ....??
男子みたいな名前の女子だって、
たくさんいるし....ね!!(・∀・)」
小雪「そ、そうですか....。
ありがとうございます、橘さん...。」
梨花「...梨花...」
小雪「...え??」
梨花「梨花って呼んで(*^^*)」
小雪「梨花さん...ですね、よ、よろしく...」
梨花「うんっ!!あ、着いたみたい...
じゃ、また学校でね!!(。・ω・。 )ノシ」
タッタッタッタッタッ...
小雪「梨花...さん....。」



その日、僕は初恋をした。