二人のバンパイアが大気の中を進む。哀色の瞳をした少女に向かってやってくる。
 一人は背が高く、その身にまとう闇色のマントの上からもその体格の良さを思わせる。もう一人は背の高い方の半分にも満たない程小さい子。
 二人は少女の義兄妹。
「さぁ、帰ろう。」
 少女が二人に言った。
 彼女は体の向きを変え、飛び立とうとする。
「ちょっと待てよ、蓮華。」
 背の高いバンパイア 男だが言い、彼女の腕をつかんだ。
「帰るって、食事を・・・血をすわないで帰るつもりか?」
 男の澄んだ瞳が蓮華を見つめる。バンパイア特有の夜空色をした瞳が。
「ちゃんと食事をしなくてはだめだ。いつも言っているだろ。体はどんどん弱ってる。つまらない意地をはるな‥‥な。?」
 男は自分の方に少女を向かせると、真っ直ぐに瞳を見つめて言った。
「意地なんかじゃない。‥‥そんなに心配しないで。私には人間の血は必要ないよ。ほら、今だってこんなに元気にも飛んでいるもの。」
 蓮華は男に強気な瞳をなげかける。
 すると、小さな女の子のバンパイアがしがみつき、言う。