何となく配られた紙を見回すと、1つの欄で目が止まる。

『数学ー雪名』

雪名って、あの雪名先生?
入学式で私を助けてくれた正義の味方。
あれ以来忙しくて忘れていた、あの眠たそうに伸びをするかっこいい先生。


何で先生は私のこと知ってたんだろう。
『吉野』って名前呼んだ。
あんなかっこいい人一回会ったら忘れるかな。

数学の先生だったんだ。なんだかイメージじゃない。数学の先生ってもっとおじさんのイメージだ。あんな若い先生いるんだな。

授業始まったら聞いてみよう、いつ会いましたかって。

本格的に始まる授業を、薫は楽しみに思った。