――怜央と知り合ったのは、12年前の小学1年生の春。

たまたまクラスが同じで、すぐに仲良くなったんだ。

あの頃の怜央はあたしより小さくて、クラスの女子の誰よりも愛らしい顔をしていた。

一方あたしは、ふたりの兄に鍛えられたせいか、やたらと活発で、クラスの男子の誰よりもヤンチャだった。


そんなあたしの後ろを怜央はよくついてまわっていた。

あたしはあたしで、彼を守ってあげなきゃ……って、親心みたいなのを抱いていて。

凸凹コンビなあたし達は、いつもそばにいるのが自然になっていたんだ。


そんな関係は小学4年生ぐらいまで続いたかな。

いつの間にか、それぞれ同性の友達といる方が多くなっていって、中学に上がる頃にはたまに話す程度になっていた。

気づけば背も追い越されたし、成長とともにほどよく男らしさもミックスされた彼は、アイドルタレント顔負けのイケメンになった。

いつもあたしの後ろにべったりひっついていたあの頃とは違う。

今のあたしは怜央が普段は何をしているのか、また何を考えてるか……なんて、結局のところ全然わかってないのかもしれない。


それでも小1から高3までの12年間、あたし達は毎日同じ学校に通って、学生生活をともに過ごした。


そしてこの春――。

別々の大学に進学するあたし達は、13年目にして初めてそれぞれの道を歩むことになる。