あたしの涙が落ち着いてから、怜央は部屋の中まで手を引いて歩いてくれた。

そしてふたり並んでベッドに腰掛ける。


「少しは落ち着いた?」


怜央の問いかけにあたしはコクンとうなずく。


「なんで、うちに来たの? さっきLINE送ったばかりなのに」

「え? マジで?」


そう言って、怜央はスマホを確認する。

どうやら、全く気づいていないようだった。


「まぁ、来たのはアレだよ。麻衣がオレのこと必要としてるんじゃないかなーってなんとなくそう思ったから。言ったろ。オレ、魔法使いだって」


まだ魔法使いネタをひっぱるのか。

あたしは目を細めて、じーっと彼を睨む。


「つーのは、ウソで。ほんとは、保奈美から聞いた。西村が女といるところに出くわしたって……」

「うん……」


あたしはコクンとうなずく。


「きつかったな……」


いたわるような優しい声に、あたしの涙腺はまた緩む。

グスッと鼻をすすって言う。


「もしかして、怜央は知ってたの?」

「えっ?」