「そっか……。しょうがないね」


あたしはパッと立ち上がる。


「話してくれてありがと。太一がそう決めたんなら、それでいいよ」


「麻衣……」


太一があからさまにホッとしたような顔をした。

あたしがもっと怒ったり泣いたりするだろうって思ってたのかもしれない。

あたしだって、そうなるかもしれないって思っていたけど、実際には自分でも驚くほど冷静でいられた。

多分、あたしは“カッコつけ”なんだ。


どうあがいたって終わってしまうのなら、せめてキレイに終わらせたい。

さらに言えば、太一の中のあたしのイメージを下げたくなかったの。


これはきっとあたしの小さなプライド。

バカみたいって、笑われるかもしれないけど。

いつか彼が過去を振り返った時、あたしとの思い出がキラキラと輝いていたらいいなって思う。


「じゃね。バイバイ、太一。元気でね」