「この部屋、なんかいいな……。日当たり良さそうだし」


少し目線がはずれたかと思ったら、ふいにそんなことを言う。

あたしの肩越しに、部屋の奥を見ているようだった。

視線の先を見ようと、あたしは振り返る。


今いる玄関からは部屋の奥まで見通せる。

そこにはベランダに出られる掃き出し窓があって、ここからも外の景色がよく見えていた。

マンションの裏は公園になっている。2階にあるこの部屋からは、そこに植えられている木々が見える。

今はまだ枯れ木だけど、もっと暖かくなればきっと緑でいっぱいになるんじゃないかな。


「うん。あたしも気に入ってる」


あたしがそう答えると、「じゃーな」と怜央は背を向け、ドアノブに手をかけた。

だけど、すぐに振り返って、ふたたびあたしを見つめる。


「あ。そーだ。あと、これも言っておこうかな」


ん? と、あたしは首をかしげる。



「オレ、麻衣のことが好きだよ」

「えっ……?」