あの夏のキミへ

「………蓮…」

ドアの向こうで会話している先生たちに聞こえないように呟いた。

………もう、帰ろう…。

会いたいなんて………

この気持ちはもう、封印しよう…。

職員室に背を向けて帰ろうとしたとき、またドアの向こうから声が聞こえてきた。

「そんな……勉強のできる優しい生徒だったのに…」

歩き出そうとしていたわたしの足はピタリと止まり、もう一度ドアの方を振り向いた。

「…グスッ…あと2ヶ月なんて……」

………………………泣いてる?

先生たちが、泣いてるの?

普通生徒が転校するぐらいで泣くのか?

ドア越しのわたしにも伝わってくる、ただならぬ雰囲気。

どういうこと……

今のわたしには理解できない。