あの夏のキミへ

突然の出来事に、足は石になったかのように動かなくなった。

それなのに膝がだけはガタガタと震えている。

真っ白になってしまった頭は、思考回路が完全に封鎖され、あっという間に三人に囲まれてしまった。

「ふふっ、一緒に遊ぼうよ、ひ・か・り・ちゃーん!!」

三人のボス的存在の田中さんが、乱暴にわたしの頬を鷲掴みにしてきた。

…痛い。

白くて小さな手で掴まれた頬は、だんだんと熱を持ち始める。

わたしよりちょっとばかり背が低い田中さんは、口元は笑っていても、目だけはしっかりとわたしを睨んでくる。

髪の毛は茶色でミディアムのストレートヘア。

そのおかげなのかは知らないが、クラスの中で一番モテていた。

そしてクラス中の男子を味方につけ、わたしを貶し、いじめた。

そのいじめのなにもかもが昨日のことのように脳裏に焼き付いている。

「なにか言いなさいよーー」

森田さんも松井さんもニヤニヤと笑う。

「夏休みの間、アンタと遊べなくてつまんなかったんだけどー」

「今日は久々に相手してよね…?」

そう言うと、じりじりとわたしの方に詰め寄ってきた。

その影が、怖くて怖くてたまらなかった。