「やっと着いたぜ。」
佐々木は額の汗をぬぐった。

「着いたぜ。じゃねーよ、だいたいお前は…」

「わかったわーかった!、もう反省してますって。」

佐々木は先程まで俺に注意を受けていたのだ。
佐々木のことはまだ侮れない。
「でもよ、もう人がいっぱいいる! しかも、もう部活ごとにならんでるし!」

「ああ、俺らもならぶか。 弓道部はどこだ?」

体育館内をキョロキョロしていると、
結構近くにあった。
並んでる部員もまあまあいる。

「おい佐々木、弓道部はここみたいだ。 そっちじゃないだろ。」

違う場所に行きそうな佐々木を引っぱると、保木が何か言い出した。

「卓球部が無いか探しにいきたい。」

「ねーよ! 部活欄にもなかったし先生にも言われただろ。 諦めろ。」

佐々木を説得するも、なかなか動いてくれない。

「はぁ、わかったよ。探してこい。 卓球部がなかったら弓道部の所に来いよ? 俺はここにいるから。」

「わかった!」

佐々木は元気よく返事をするとすぐにどっか行って人ごみで見えなくなった。

「俺はどうしよっかな。」
と、独り言を言って列に並んだ。

弓道の新入部員を見てみると、男子が3人くらいで、女子が、まぁ5人くらいだろう。

人ごみでならんでいるかどうかすら確認がしずらい。

「俺も少し体育館をブラつきたいな」
と、後ろを振り向き、歩いた。その時、誰かにぶつかった。
佐々木ではない、俺の後ろにならんでいたのだろうか。
相手がよろけた。
倒れそうだったのでとっさに腕を引っ張り、後ろから肩を支えた。

「っ! 大丈夫か!?」
と、相手に声をかけた。

「大丈夫です大丈夫です!ありがとう!」
なかなか元気な女子だった。

黒髪のロングで、可憐な人だった。

「そ…そうか。 怪我がなくて良かった。 気をつけるよ。」
と言うと、佐々木が帰って来るのが見えたからそのままならんだ。

「卓球部ないのか~ マジありえん。」

「だから言ったろ。さっさと並べ。」
帰って来た佐々木を自分の前にならばせた。

10分後、部活決めが全て終わり、そろそろ解散しようとしている。

「弓道部員は明日弓道場で集合らしいぜ?」
また佐々木がはしゃいでいるようだ。

「聞いてたよ。明日何時に集合かわかるか?」

「わからない。」

「バーカ、5時だよ、ちゃんと聞いとけ。」
と、なんやかんや言っているうちに解散になった。

「今日コンビニ寄らね?」
と言いながら後ろに振り返り、歩く。

「キャッ!」
その時、誰かにぶつかった。
佐々木ではない。
さっきの人だ。
一回目よりかよろけなかったものの、腕を引っ張り、後ろから肩を支えた。
「本っ当にごめん! わざとじゃないんだ!」
と、聞かれてもない無罪を証明する。

「フフッ、二回目だねこのやりとり。 全然気をつけてないじゃん。」
と、無邪気な笑顔を見せた。

その時、何故か彼女の笑顔に見とれていた。

「…怪我はないよ。ありがとう。」

と、お礼を言うと少し小走りで出口に向かった。

見えなくなるまで彼女を眺めていると、さっきの様子を見ていた佐々木がニヤニヤしていた。

「きっくぅー。恋をしたかもしれないな。」

「なっ! バカかお前は! バカだよ、うん、バカ。恋なんてしてねーよ!」

佐々木は不思議そうな顔をして解説をする。

「いや、きっくー。むこうの女の子がお前に恋をしたかもって言ったんだけど…」
数秒だけ沈黙が続くと、佐々木は全て理解してニヤニヤしていた。

「きっくー......まさか。
お前があの子に恋を…」

「バカだろ! なんでお前はそうゆうこと言うんだよバーカバーカ」
佐々木はニヤニヤが止まらない。

「だけど、さっきの子、お礼を言ったとき顔が赤かったぜ? お前もだけど。」

「うるせー! 置いて帰るぞ!?」
と言いながら体育館を出る。

「ごめんごめん 一緒に帰ろうぜ。」
と、佐々木はこれ以上の詮索はしなかった。
ただ、佐々木は弓道部を選んで正解だったと、ニヤニヤしていた。

「これから面白くなりそうだなぁ。」