妄想恋愛

自分に好意が寄せられているなんて、これっぽっちも気づいていないのだろう。



「もうどうすればいいのかわかんないよ……」


「うーん…私もわかんないですよ…」


「だよね…」


私は音楽室の窓を開け、空を眺めた。

あの雲そらまめみたいだなー…


「ていうか、先輩は氷河先輩のどこを好きになったんですか?」


「うぇ!?」


「そういえば聞いてなかったなって思いまして…で、どうなんですか?」


「うーん…話せば長くなるんだけど」


「手短にお願いします」



時は二年前に遡る。


私が中学一年生だった頃。


その日は凄く暑くて、気温が余裕で30度を越えていて。

当然皆暑いから、少しでも涼しくなろうと水を頭から被ったりしていた。


「そしたら、水に濡れた氷河君がすっごいかっこよくてさあ!!」


「あー…水も滴る良い男、ってやつですか」


「そうそうそれそれ!!」