「今日は寒いし、鍋でも作るか?」

「いいですね。」

「寒い寒い。早く入ろう。」

「はい。」


「随分遅い帰りね。一番早く帰ったっていうのに。あれからどれだけ…紗藍⁈」

「…姉さん。」

「…優花。」

「えっ…あ、あの。二人は?」

「…どういうこと?」

「紗藍違うんだ。おい優花。何で人の部屋に勝手に入るんだ!」

「何で?って。いつものことでしょ?」

「いつもって…」

「紗藍。」

「ごめんなさい、ク代理。お仕事手伝う約束してたけど、用事を思い出したので…帰ります。」

「紗藍!」



早く…早く帰りたい。
この状況から、一秒でも早く抜け出したい。
ク代理。どうして姉さんが?

涙をこぼしながら走る。



「紗藍!」

「…」

今は…振り返ることができない。

「紗藍!待って。」

腕を掴まれる。

「紗藍あれは違うんだ!」

「何が?どう違うの?」

「全部説明する!だから話を聞いてくれ。」

「説明されたって…今の私には…理解できそうにない。」

「…紗藍。」



どうして私が愛する人は…いつも私から離れていくの?
私は誰かを愛しちゃいけないの?