「お先に失礼します。」

「あ、ク代理。お疲れ様。」

「はい。」

「あっ…課長。私今日用事あるので…お先に失礼します。」

「はーい。最近、日が暮れるのが早いわね。もう暗いから気をつけて。」

「ありがとうございます。お疲れ様でした。」


私は走って、先を歩くク代理を追いかけた。

「ク代理!」

「あぁ、紗藍さん。」

「上手く抜けれましたね。」

「そうだね、よかった。」



「あ、じゃあ少し行ってきますね。あ、よかったら上がって行きます?」

「邪魔じゃない?」

「いえいえ、どうぞ。」

「じゃあ…少しだけ。」



「ただいまー。」

「あれ?紗藍!どうしたの?」

「あぁ…ちょっと。」

「こんばんは。」

「あぁ、ク代理?でしたっけ?」

「はい。」



「花音。昨日、男の人この家に入った?」

「…え?」

「舞姉さんが言ってたよ。」

「あ…実はね…私、付き合ってる人がいるの。」

「えっ?誰?」

「…紗藍も知ってる人。中島和也。」

「え?いつから?」

「一ヶ月前…」

「そうだったんだ…」

「ごめんなさい。隠してて。」

「ううん。でも和也で良かった。昔から優しいし。いい人だよね。」

「うん。」

「中島和也って、あの和也?」

「何?知ってるの?」

「その人、もしかしてサッカー部?」

「はい。」

「やっぱり。俺の後輩だよ。」

「え?」

「高校の時の。」

「嘘。」

「ク代理、和也と同じ高校だったんですか?」

「あぁ。」

「こんなことあるんだ。」

「本当。すごい偶然。」

「ピンポーン♪」

「あ…」

「ん?誰だろ。」

「ガチャッ…」

「花音、昨日言ってた…って紗藍?」

「和也?」

「紗藍…ごめん。」



「ということです。」

「まぁ…私も今日はク代理の家に泊まるから。」

「うん…」

「ク先輩と再開できるなんて、夢みたいです。」

「俺もだよ。」

「じゃあ…二人の邪魔しちゃなんだし。ク代理。行きましょう。」

「あぁ。」

「お気をつけて。」



「なーんだ。花音にも彼氏がいたのねー。」

「寂しい?」

「そんな。逆にホッとしました。」

「え?」

「花音にも、愛する人がそばにいてくれて。」

「そっか。帰ろう。」

「はい。」