「ん…らん…さらん…紗藍ってば〜!!」

…ん、もう…うるさいなぁ。

「ふわぁ…眠い。」

「今日はよく寝たわね。昨日あれだけ飲んだもんね。おはよう、紗藍。」

「おはよう。花音はいつもより早いね。どっか行くの?」

「今日は制作発表だよ。卒業前最後の。」

「そっか。花音は今まで本当に頑張ってたよね。今日の結果で資格も取れるんでしょ?頑張って!」

「うん、ありがとう♡私が頑張れたのも、紗藍がいてくれたおかげだよ!」

「そんなことないよ。じゃあご飯食べよっか。」

「うん!」

私は紗藍。21歳で、SMILE LIFEに入社してから1年が経つ。
今私の目の前にいるのは、私の中学生の時からの親友で、一緒に住んでる吉田花音(よしだ花音)。デザイン専攻の大学に通っていて、今年卒業する。卒論発表みたいな感じで、今日は大事な制作発表があるらしい。

「紗藍。今日はなんの日か知ってる?」

「え?制作発表の…」

「違う違う!本当にわからない?」

「…花音の誕生日でしょ。それくらい知ってる。」

「なんだぁ。今本当に忘れてるかと思ったー。良かった。」

「忘れるわけないでしょ。今日は早く帰るから。」

「うん!ケーキも忘れないでね。」

「分かってる。じゃあ行くね。」

「うん、いってらっしゃーい!ファイティン!」

「花音もね。いってきまーす。」

頭痛い。
昨日は…そう…昨日は…
あの人と別れた日。
別れたのは2年前…まだ私が学生だった頃…
あれから毎年別れた日になると、
いつも酔うまで飲んでしまう。
早く忘れたい。