【真琴SIDE】
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朝、七時半起床。
冷たい水で、ばしゃばしゃ、顔を洗って気合を入れる。
タオルで、ざっと顔をぬぐって、男の子みたいに短い髪をブラシでとかしたら、終わり!
わたしは支度が異常に早い。
「真琴。今日は始業式だから、バスケ部の朝練はないんでしょ?」
鏡の中に、お母さんが顔を出した。
「ないけど、自主練だよ。」
「ねえ、真琴。あなた、今日から中三でしょ?受験生の自覚はあるの?バスケもいいけど、そろそろ、高校のことも考えないと。」
ああ、朝から、これだ。
うっとうしいなあ。
「じゃ、行く。」
「明日からは真澄もいっしょに連れていってよ。」
「げえ。やだよ。なんで学校でまで、弟のお守りをしなきゃなんないの!!?」
弟の真澄は、この春から、同じ中学の新入生。おとなしくてお行儀がよくて、顔もキレイで、よく女の子に間違われる。
まつげが長くて、髪も、さらっさらっのつやつやで、天使の輪ができてんの。体つきもきゃしゃで、手足が長い。
わたしが小学生の頃は、真澄といっしょにいると、いつも、
―お兄さんと妹さん?
って、言われたっけ。