私の心を彩る君




学校から帰ってきて「ただいま。」と声をかけた時。


夕ご飯の準備を手伝う時。


お買い物に行く時。


テストの結果を見せた時。


学校行事の時。




事あるごとに私と以前の"私"を比べ始めた。





「声はもっと明るかった。」

「何を手伝えばいいかよく聞く優しい子だった。」

「あれこれ欲しいと可愛くねだった。」

「英語のテストはもっと点数取れてた。」

「ビデオを持つ私に手を振ってくれた。」




気に触ることがあると私を比べ、狂った人形のように違いを吐き出した。



最初のうちは悲しかったし聞くことも辛かったけど、もう何も思わなくなってしまった。


そして気付けば口数が減り、学校へ行っても誰とも話さず1人でいるようになった。


記憶を無理に思い出そうとすることもやめた。


なんで私は生きているんだろう。記憶を無くすくらいだったら死んじゃえば良かったのに。


そんな事を何回も思った。


でも死ぬことは怖くて私には出来なかった。


そんな度胸のない私はもっと自分のことが嫌になった。