「ばあちゃん!」
希望梨が叫ぶとミヨはニヤッと笑った。
「よく来たね。急に呼んで悪かったね」
「7時にじいちゃんが迎えに来てくれるって聞いたんだけど…。もぉ、おどかさないでよ」
希望梨は周囲の視線が気になり小声になった。
「ごめんごめん。じいちゃんは朝の散歩に行ってるよ」
ミヨは希望梨の荷物を受け取ろうとした。
「軽いから大丈夫」
希望梨は祖母を促して駅の出口に向かった。

「今日はじいちゃんを尾行しようと思ってね」
駅から一歩出た途端、ミヨは決意表明をした。
「…はい?」
希望梨は久しぶりの田舎の朝の新鮮な空気を吸い込んでいたのに現実に引き戻された。
「じいちゃん、最近朝の散歩始めたんだよ。散歩の帰りに希望梨を駅まで迎えに行くって言ってたんだけど…」
ミヨは目を細めた。
「きっと、女に会ってるんだよ」