「否定するから余計怪しい」
別れ際、ブーちゃんは納得しない様子だった。
「…もぉ」
希望梨は道端の石を蹴飛ばした。
「ま、なんかあればまたメールくれよ。じゃ、稔によろしく」
ブーちゃんは手を振って自転車で遠ざかって行った。
希望梨は手を振り返して、複雑な心境でいた。
明日、初めて伊坂と二人だけで会うのだ。
彼の事を何も知らないのに。
ブーちゃんにそれを一番相談したかったのに、つい思い出話になった。
あ、卒業アルバム見てブーちゃんの本名調べなきゃ。
それを思いだし、少し気が楽になった。
「緑町商店街…」
田吾郎は鉛筆を指先でくるくる回しながら呟いた。
商店街の目玉とはなんぞや。
商店街が活気があったあの頃の栄光をもう一度。
店番をしながら商店街の宣伝活動を考える作家。
時折、客がレジにやってくると手が覚えていてササッとレジを打ち、代金を受け取り、或いは図書カードを受け取り、精算をしてまたどうぞと送り出す。
防犯カメラに映る自分を早回しにしたらチャールズ・チャプリンのようになる事間違いなし。
そこへ、ファクス受信の音が聞こえた。
しばらくして紙を引っ張り出すと、『赤毛のアン』出版100周年を記念する本が出るので、是非ご注文下さいという出版社からの案内だった。
『赤毛のアン』
この絶妙な邦題は、日本にアンをもたらした村岡花子氏の功績である。
原題そのままなら、『アン・オブ・グリーンゲイブルズ』
で、今風なら『グリーンゲーブルズのアン』無理矢理なら『緑の切り妻屋根屋敷に住むアン』か。
アンの世界は赤と緑が大きいな…。
田吾郎がそう考えた時、商店街のプロジェクトは動き出したと言っても過言ではない。
別れ際、ブーちゃんは納得しない様子だった。
「…もぉ」
希望梨は道端の石を蹴飛ばした。
「ま、なんかあればまたメールくれよ。じゃ、稔によろしく」
ブーちゃんは手を振って自転車で遠ざかって行った。
希望梨は手を振り返して、複雑な心境でいた。
明日、初めて伊坂と二人だけで会うのだ。
彼の事を何も知らないのに。
ブーちゃんにそれを一番相談したかったのに、つい思い出話になった。
あ、卒業アルバム見てブーちゃんの本名調べなきゃ。
それを思いだし、少し気が楽になった。
「緑町商店街…」
田吾郎は鉛筆を指先でくるくる回しながら呟いた。
商店街の目玉とはなんぞや。
商店街が活気があったあの頃の栄光をもう一度。
店番をしながら商店街の宣伝活動を考える作家。
時折、客がレジにやってくると手が覚えていてササッとレジを打ち、代金を受け取り、或いは図書カードを受け取り、精算をしてまたどうぞと送り出す。
防犯カメラに映る自分を早回しにしたらチャールズ・チャプリンのようになる事間違いなし。
そこへ、ファクス受信の音が聞こえた。
しばらくして紙を引っ張り出すと、『赤毛のアン』出版100周年を記念する本が出るので、是非ご注文下さいという出版社からの案内だった。
『赤毛のアン』
この絶妙な邦題は、日本にアンをもたらした村岡花子氏の功績である。
原題そのままなら、『アン・オブ・グリーンゲイブルズ』
で、今風なら『グリーンゲーブルズのアン』無理矢理なら『緑の切り妻屋根屋敷に住むアン』か。
アンの世界は赤と緑が大きいな…。
田吾郎がそう考えた時、商店街のプロジェクトは動き出したと言っても過言ではない。
