「笠倉君、推薦で高校決まったらしいよ」
りおがそう言った時、希望梨は受験の問題集に取り組んでいた。
思わず手に力が入り、シャーペンの芯がポキリと折れた。
…縁起悪っ!
師走。
先生が走るから師走。
稔は走るのが得意だから進学先決まったってか。
「…私学?」
師走の図書室で、希望梨はりおにボソッと尋ねた。
「ううん、公立だって。陸上に力入れてる高校らしくてね…」
りおが情報をくれる中、希望梨はぼんやり自分の通学鞄を見た。
違う神社のお守り三つ。
全て学問の神の神社出身のお守りだが、神様が喧嘩するのでは…?と気になった。
祖父母から一つ。
両親から一つ。
姉達から一つ。
中学生にもしがらみがあり、どれも鞄から外せなかった。
「えっ、じゃあどこ?」
「分かんない」
「何で?」
つい大声になり、周囲から無言の重圧を感じた。
何故、1番肝心な情報がないの?
「希望梨、併願だよね?」
「うん…今はやっぱり高卒以上じゃないとキツいよね。私学も受けるけど、やっぱり本命は公立だから」
姉二人は公立高校に進学し、美沙梨はさらに国立の大学に進学していた。
姉達が公立高校に進学したのでだいぶ学費は楽だったが、希望梨で私学になったら学費はかなりキツくなる。
田吾郎はまずまずの人気はあるものの、賞をとるような作家ではない。
BOOKSケイだって大繁盛している本屋ではない。
姉二人が手伝いながら、自分の学費を稼いでいる感じである。
「奨学金…」
図書室に貼ってあるポスターを見てつぶやく。
奨学金を得られるような成績ではない。
稔みたいに一芸に秀でるってのが大切なのかな…などと少々妬みもする。
とにかく、公立受かるべし!
当時15歳の希望梨はひたすら勉強した。
塾にすら行かなかった。
余分な負担を親にかけたくなかったから。
問題集を買う小遣いだけもらって、自力で勉強した。
今思えば人生で1番勉強した時間?
りおがそう言った時、希望梨は受験の問題集に取り組んでいた。
思わず手に力が入り、シャーペンの芯がポキリと折れた。
…縁起悪っ!
師走。
先生が走るから師走。
稔は走るのが得意だから進学先決まったってか。
「…私学?」
師走の図書室で、希望梨はりおにボソッと尋ねた。
「ううん、公立だって。陸上に力入れてる高校らしくてね…」
りおが情報をくれる中、希望梨はぼんやり自分の通学鞄を見た。
違う神社のお守り三つ。
全て学問の神の神社出身のお守りだが、神様が喧嘩するのでは…?と気になった。
祖父母から一つ。
両親から一つ。
姉達から一つ。
中学生にもしがらみがあり、どれも鞄から外せなかった。
「えっ、じゃあどこ?」
「分かんない」
「何で?」
つい大声になり、周囲から無言の重圧を感じた。
何故、1番肝心な情報がないの?
「希望梨、併願だよね?」
「うん…今はやっぱり高卒以上じゃないとキツいよね。私学も受けるけど、やっぱり本命は公立だから」
姉二人は公立高校に進学し、美沙梨はさらに国立の大学に進学していた。
姉達が公立高校に進学したのでだいぶ学費は楽だったが、希望梨で私学になったら学費はかなりキツくなる。
田吾郎はまずまずの人気はあるものの、賞をとるような作家ではない。
BOOKSケイだって大繁盛している本屋ではない。
姉二人が手伝いながら、自分の学費を稼いでいる感じである。
「奨学金…」
図書室に貼ってあるポスターを見てつぶやく。
奨学金を得られるような成績ではない。
稔みたいに一芸に秀でるってのが大切なのかな…などと少々妬みもする。
とにかく、公立受かるべし!
当時15歳の希望梨はひたすら勉強した。
塾にすら行かなかった。
余分な負担を親にかけたくなかったから。
問題集を買う小遣いだけもらって、自力で勉強した。
今思えば人生で1番勉強した時間?
