ブーちゃんの朗らかな笑顔を見ると安心した。
リラックスして話せる異性といえばやっぱりブーちゃんか。
そのくせ中学以来メールのやり取りすらしていなかった。
…ブーちゃんの本名なんだっけ?
携帯にもブーちゃんと登録しているのでブーちゃんとしか思い出せない。
伊坂透に告白されて呆然として本鈴が鳴ってるな…と感じながら
「はい」
とだけ答えた自分。
何が「はい」なんだろう?
その日、伊坂を避けるように足早に帰宅して、無意識に携帯を開いた。
そして、ブーちゃんの名前を見つけ、久しぶりにメールした。
メアド変えてるかもなぁ…とか思いながら。

でもブーちゃんはメアドを変えず、無事連絡が取れて今こうして向き合って座っている。
「否応なしに本好きにされたかな…。私もなんか買ってくる」
ブーちゃんはフライドポテトをつまみながらコーラを飲んでいる。
あいよ、と短く答えてブーちゃんは希望梨がカウンターに向かうのを見送った。

しばらくして、希望梨はトレイと共に戻ってきた。
ハンバーガーとサラダとアイスコーヒー。
「僕、笠倉と希望梨って付き合ってるから同じ高校に進学したんだと思ってたよ」
サラダにフォークを向けた希望梨の手が止まる。
「…私稔がどこに進学するのか知らなかったんだよ」
フォークは宙にさまよい、希望梨の記憶も三年前にさまよっていく。