17になった今、別に名前のグッズは欲しくない。しかし、夢梨ではダメだったのが。希望の文字は好きだが、普通名前ならのぞみと読むだろう。ゆめと読む人は自分位じゃなかろうか。
お父さんは散々自分の名前で苦労したと言いながら、娘にも同じ苦労をさせてるじゃないの。
そんな事を考えながら店番をしている。緑町商店街の中に唯一ある書店、BOOKSケイ。両親がコツコツ貯金したお金と父方の祖父母の遺産で10年前に建てられた、一階が書店、二階と三階が住居のビルである。
母は独身の頃書店で働いていて、売れない新人作家の父と出会った。中堅の書店だったので、サイン会を開いたりしていた訳である。しかし、有名所を招く程の規模ではなく、父のような新人が招かれた訳だ。
母は書店の仕事の魅力をよく知っており、不況な業界と知ってはいても自分の店を持つ夢を諦めなかった。父も作家なのだからもちろん賛成し、子育てが落ち着いた頃BOOKSケイが誕生した。
春の土曜の午後。希望梨はレジの前にちょこんと座っている。姉達は大学のサークルだの合コンだのと出掛けてしまうので希望梨が店番をする事が多かった。
店内はコンビニ程度の広さで、今は数人立ち読みしている程度だ。防犯カメラもあるし、希望梨一人で充分店番出来る。
お父さんは散々自分の名前で苦労したと言いながら、娘にも同じ苦労をさせてるじゃないの。
そんな事を考えながら店番をしている。緑町商店街の中に唯一ある書店、BOOKSケイ。両親がコツコツ貯金したお金と父方の祖父母の遺産で10年前に建てられた、一階が書店、二階と三階が住居のビルである。
母は独身の頃書店で働いていて、売れない新人作家の父と出会った。中堅の書店だったので、サイン会を開いたりしていた訳である。しかし、有名所を招く程の規模ではなく、父のような新人が招かれた訳だ。
母は書店の仕事の魅力をよく知っており、不況な業界と知ってはいても自分の店を持つ夢を諦めなかった。父も作家なのだからもちろん賛成し、子育てが落ち着いた頃BOOKSケイが誕生した。
春の土曜の午後。希望梨はレジの前にちょこんと座っている。姉達は大学のサークルだの合コンだのと出掛けてしまうので希望梨が店番をする事が多かった。
店内はコンビニ程度の広さで、今は数人立ち読みしている程度だ。防犯カメラもあるし、希望梨一人で充分店番出来る。
