「やっぱこーゆー大型店にお客さん取られちゃうよね」
ワンフロア(つまり平屋)の大型スーパー。
さっきまで観ていた映画館が併設されている。
「映画館があるのも大きいよね…。あ、原作本ここで買うじゃん!」
希望梨は売り場を見て回りながら色々言う。
「…すっかり敵視してるな」
稔は希望梨の言い分に納得したりうなずいたりした。
「今時の店だよな…」
ギャル系のショップの前を通りながら稔がつぶやいた。
ローラースケートを履いた青年が通りすぎた。
「何、今の」
希望梨はびっくりして通り過ぎる青年を見た。
「あぁ、店内を案内する人だよ」
「商店街にもそーゆー人置いたらいいかな?」
「…商店街を走り回んのかよ」
稔は呆れて希望梨を見た。
「あ、そっか。商店街は自転車も乗り入れ禁止だよね」
商店街は自転車を押して通らなければならない。
「あ、可愛い雑貨屋さん!」
希望梨はめざとく雑貨屋を見つけて入って行った。
「……」
かなり女の子の世界なので稔には敷居が高かった。
ぼんやり立っていると、私学の制服を着た女の子が通りすぎた。
私学って学費高そー…。
そんな事を思いながら店内を見ていると、私学の女の子がエプロンをして売り場に戻ってきた。
バイトしてるんかい!
やはり学費が大変なんだろうか…。
そんな事を考えていると、希望梨が包みを抱えて出て来た。

「稔も入ればよかったのに。映画のグッズも充実してたよ」
「……」
大型スーパーの思うツボやな〜いか〜い。
でも沢山の雑貨を抱えて嬉しそうな希望
梨を見て、余計な事は言わなかった。