「『赤毛のアン』ってそんなにいいの?」
稔が呟いた時、あちこちから非難の視線が流れて来た。アンのファンしかいないのだから当たり前だ。
「不朽の名作だよ。原作何回も読んだ」
「ふーん…」
「この映画版ね、カナダではドラマで放映されたらしいの。日本では映画に編集されてるけど…。全部見てみたいなぁ。皆イメージピッタリだし」
希望梨はいきいきと話した。
「ふーん…」
稔はそう言いながら心が和むのを感じた。
やがて照明が暗くなり、近日上映の映画の予告が始まった。
稔は『赤毛のアン』をまるで知らないので、このヒロインはよくしゃべるなぁ…とか考えながら観ていた。
「あ、マシュー…」
希望梨が呟くと、スクリーンには優しそうな老人がいた。
孤児院から来たアンが駅に到着し、マシューと初対面するシーン。
アンとマシューが馬車に乗り、アンが一方的に話しながらマシューの家に着いた。
「マリラ…」
また希望梨が呟くので、スクリーンを見ると老婦人が立っていた。頑固そうなおばさんだ。
兄さん、男の子が来るはずでしょう?
いや、でも、あの…。マシューはもじもじしている。
口下手な老人のようだ。
夫婦かと思ったら兄妹なのか…。
あぁ、畑仕事をするために男の子がよかったのか。
手違いで女の子であるアンが来てしまったらしい。
アンが兄妹の様子から悲観して泣き始めた。
「……」
稔は物語に引き込まれて観ていると、すすり泣きが聞こえた。
別に悲しいシーンでもないけど…?
ふと隣を見るとすすり泣いているのは希望梨だった。
「……」
今迄知らなかった彼女の一面を見た気がした。
無意識だろうが、希望梨が稔の服の袖を握っている。
稔は不思議な感覚に包まれて映画を観た。
悪い感覚ではなかった。
むしろ心地よかった。
しかし、アンは次々問題を起こす。
まず、学校でギルバートの頭を石板で叩いた。
…ギルバートがアンのおさげを引っ張って「にんじん!」とからかったからだ。
希望梨が転入して来た日を思い出した。
このシーンから散々からかわれた訳か。
そして赤毛を気にして怪しげな毛染めを買う。
…そして、不気味な緑の髪になる。
稔は吹き出しそうになったがこらえた。
でも小刻みに震えていた為、希望梨につつかれた。
稔が呟いた時、あちこちから非難の視線が流れて来た。アンのファンしかいないのだから当たり前だ。
「不朽の名作だよ。原作何回も読んだ」
「ふーん…」
「この映画版ね、カナダではドラマで放映されたらしいの。日本では映画に編集されてるけど…。全部見てみたいなぁ。皆イメージピッタリだし」
希望梨はいきいきと話した。
「ふーん…」
稔はそう言いながら心が和むのを感じた。
やがて照明が暗くなり、近日上映の映画の予告が始まった。
稔は『赤毛のアン』をまるで知らないので、このヒロインはよくしゃべるなぁ…とか考えながら観ていた。
「あ、マシュー…」
希望梨が呟くと、スクリーンには優しそうな老人がいた。
孤児院から来たアンが駅に到着し、マシューと初対面するシーン。
アンとマシューが馬車に乗り、アンが一方的に話しながらマシューの家に着いた。
「マリラ…」
また希望梨が呟くので、スクリーンを見ると老婦人が立っていた。頑固そうなおばさんだ。
兄さん、男の子が来るはずでしょう?
いや、でも、あの…。マシューはもじもじしている。
口下手な老人のようだ。
夫婦かと思ったら兄妹なのか…。
あぁ、畑仕事をするために男の子がよかったのか。
手違いで女の子であるアンが来てしまったらしい。
アンが兄妹の様子から悲観して泣き始めた。
「……」
稔は物語に引き込まれて観ていると、すすり泣きが聞こえた。
別に悲しいシーンでもないけど…?
ふと隣を見るとすすり泣いているのは希望梨だった。
「……」
今迄知らなかった彼女の一面を見た気がした。
無意識だろうが、希望梨が稔の服の袖を握っている。
稔は不思議な感覚に包まれて映画を観た。
悪い感覚ではなかった。
むしろ心地よかった。
しかし、アンは次々問題を起こす。
まず、学校でギルバートの頭を石板で叩いた。
…ギルバートがアンのおさげを引っ張って「にんじん!」とからかったからだ。
希望梨が転入して来た日を思い出した。
このシーンから散々からかわれた訳か。
そして赤毛を気にして怪しげな毛染めを買う。
…そして、不気味な緑の髪になる。
稔は吹き出しそうになったがこらえた。
でも小刻みに震えていた為、希望梨につつかれた。
