私、何か悪いことしたんだろうか。
まず、そう思った。
「伊坂の受ける大学がな、まぁ推薦なんだけど伊坂の走る様子を見たいんだと。それが今日しかダメらしくて…」
「で、稔が来た、と」
ラフな格好の稔に対して、自分が気合いを入れてお洒落しているのが気まずい。
「伊坂がホントにごめん、って…。チケット今日までだから代理に俺という事で」
「……」
9:30AM。
長い一日になりそうだ。
「シネコンて当日券と交換しなきゃダメなんだな…めんどくせー」
「そのかわり立ち見がないじゃん」
チケット売り場から遠ざかると、ポップコーンのいい香りが漂ってきた。
「俺おごるよ。何にする?」
「自分のは自分で買うから大丈夫。ありがと」
希望梨はきびきびとフードコーナーに進んだ。
「ポップコーンレギュラーで、溶かしバターかけて下さい。アイスコーヒーのレギュラーも」
希望梨が注文しているのを見て、量の多さに稔は驚いた。
これはアメリカのレギュラーサイズ?
「えっと、俺はスモールのキャラメルポップコーンとスモールのコーラ」
「…少食だね」
会計を済ませ、トレイを手にした希望梨が呟いた。
「まぁ、ひとまず俺はこの量でいいから」
代金を払って受け取った稔のトレイの中身はお子様サイズだった−アメリカの。
これで日本のレギュラーサイズじゃないか?
「昔商店街に映画館あったよな」
復刻されたパンフレットに見入っていた希望梨は顔を上げた。
「あぁ、あったよね。ドラえもんとかよく観たなぁ」
懐かしく思い出す。
「人気作だと立ち見があってさ」
「そうそう。逆に空いてる時は何回でも観れたな…。ホントはダメだったんだろうけど」
「あぁ、寝ちまったシーンとかトイレに行って見逃したシーン観れたよな」
「そうそう。今は完全入れ替えだもんね。でも席はふかふかで広いね」
「これもアメリカサイズなんじゃねーの?」
あっはっは…
二人は大笑いした。
…ハッ!
何会話が弾んでるんだ私!
希望梨は再びパンフレットに目を落とした。
まず、そう思った。
「伊坂の受ける大学がな、まぁ推薦なんだけど伊坂の走る様子を見たいんだと。それが今日しかダメらしくて…」
「で、稔が来た、と」
ラフな格好の稔に対して、自分が気合いを入れてお洒落しているのが気まずい。
「伊坂がホントにごめん、って…。チケット今日までだから代理に俺という事で」
「……」
9:30AM。
長い一日になりそうだ。
「シネコンて当日券と交換しなきゃダメなんだな…めんどくせー」
「そのかわり立ち見がないじゃん」
チケット売り場から遠ざかると、ポップコーンのいい香りが漂ってきた。
「俺おごるよ。何にする?」
「自分のは自分で買うから大丈夫。ありがと」
希望梨はきびきびとフードコーナーに進んだ。
「ポップコーンレギュラーで、溶かしバターかけて下さい。アイスコーヒーのレギュラーも」
希望梨が注文しているのを見て、量の多さに稔は驚いた。
これはアメリカのレギュラーサイズ?
「えっと、俺はスモールのキャラメルポップコーンとスモールのコーラ」
「…少食だね」
会計を済ませ、トレイを手にした希望梨が呟いた。
「まぁ、ひとまず俺はこの量でいいから」
代金を払って受け取った稔のトレイの中身はお子様サイズだった−アメリカの。
これで日本のレギュラーサイズじゃないか?
「昔商店街に映画館あったよな」
復刻されたパンフレットに見入っていた希望梨は顔を上げた。
「あぁ、あったよね。ドラえもんとかよく観たなぁ」
懐かしく思い出す。
「人気作だと立ち見があってさ」
「そうそう。逆に空いてる時は何回でも観れたな…。ホントはダメだったんだろうけど」
「あぁ、寝ちまったシーンとかトイレに行って見逃したシーン観れたよな」
「そうそう。今は完全入れ替えだもんね。でも席はふかふかで広いね」
「これもアメリカサイズなんじゃねーの?」
あっはっは…
二人は大笑いした。
…ハッ!
何会話が弾んでるんだ私!
希望梨は再びパンフレットに目を落とした。
