「ただいま…あ、じいちゃんいらっしゃい」
リクルートスーツでやや疲れ気味だが、美沙梨は祖父に笑顔を見せた。
「…少し痩せたんじゃないか?」
創介は心配して孫娘に近づいた。
「まぁ、世間は厳しいねって毎日勉強してるようなもんだから。シャワー浴びてくるね」
美沙梨の言葉に創介はうなずいた。
遠ざかりながら、
「やっぱり今は婚活かなぁ…」
という美沙梨のつぶやきが聞こえた。
創介がキッとなってケイを見た。
「…結婚活動の略よ」
「なんか理由があると思うよ。まぁ親が勝手に決めたとはいえ許婚だった人なんだし」
希望梨は慰めになっているのか分からないまま祖母に声をかけた。
「やましい事がないなら理由教えてくれたらいいのにね…。財産放棄した事やっぱり後悔してるのかね」
駆け落ちした創介は勘当となり、両親が健在の間実家に帰る事はなかった。
母が死に、追うように父が死んで初めて実家に帰った。ケイはもう小学校の高学年だった。
「遺言にはじいちゃんの事は何も書いてなかったよ。覚悟の上だったけど、やっぱり辛かったね」
創介は銀行員として妻子を養い、貯金もして持ち家もある。
「家業を継いでいたらもっと楽な人生だったろうにね」
「でも、今みたいに幸せじゃないと思うよ」
希望梨の一言にミヨが顔を上げた。
「こ〜んな可愛い孫娘もいなかったんだよ」
おどけた顔をすると、ミヨは泣いているのか笑っているのか分からないカオをした。
「優しい子だね、あんたは」
ミヨは孫娘の頭を撫でた。
「今日さ、ブランド物のスニーカー買いに来た客がね…」
居間のテーブルに鞄を置いてから、やっと麻央梨は祖父の存在に気がついた。
「あら、じいちゃん…」
「お前は相変わらず粗野だなぁ」
創介は肩をガックリ落とした。
「いや、だって、今日最悪な事が重なって…」
「今美沙梨が風呂使ってるから、済んだらお前もサッパリして来なさい」
「は〜い」
麻央梨は跳ねるように祖父から遠ざかった。
「父さん、少しずつでも晩御飯食べて。母さんと希望梨ももうじき帰るだろうし」
「うむ…」
創介がそう言って箸に手を伸ばした瞬間、ケイの携帯が鳴った。
リクルートスーツでやや疲れ気味だが、美沙梨は祖父に笑顔を見せた。
「…少し痩せたんじゃないか?」
創介は心配して孫娘に近づいた。
「まぁ、世間は厳しいねって毎日勉強してるようなもんだから。シャワー浴びてくるね」
美沙梨の言葉に創介はうなずいた。
遠ざかりながら、
「やっぱり今は婚活かなぁ…」
という美沙梨のつぶやきが聞こえた。
創介がキッとなってケイを見た。
「…結婚活動の略よ」
「なんか理由があると思うよ。まぁ親が勝手に決めたとはいえ許婚だった人なんだし」
希望梨は慰めになっているのか分からないまま祖母に声をかけた。
「やましい事がないなら理由教えてくれたらいいのにね…。財産放棄した事やっぱり後悔してるのかね」
駆け落ちした創介は勘当となり、両親が健在の間実家に帰る事はなかった。
母が死に、追うように父が死んで初めて実家に帰った。ケイはもう小学校の高学年だった。
「遺言にはじいちゃんの事は何も書いてなかったよ。覚悟の上だったけど、やっぱり辛かったね」
創介は銀行員として妻子を養い、貯金もして持ち家もある。
「家業を継いでいたらもっと楽な人生だったろうにね」
「でも、今みたいに幸せじゃないと思うよ」
希望梨の一言にミヨが顔を上げた。
「こ〜んな可愛い孫娘もいなかったんだよ」
おどけた顔をすると、ミヨは泣いているのか笑っているのか分からないカオをした。
「優しい子だね、あんたは」
ミヨは孫娘の頭を撫でた。
「今日さ、ブランド物のスニーカー買いに来た客がね…」
居間のテーブルに鞄を置いてから、やっと麻央梨は祖父の存在に気がついた。
「あら、じいちゃん…」
「お前は相変わらず粗野だなぁ」
創介は肩をガックリ落とした。
「いや、だって、今日最悪な事が重なって…」
「今美沙梨が風呂使ってるから、済んだらお前もサッパリして来なさい」
「は〜い」
麻央梨は跳ねるように祖父から遠ざかった。
「父さん、少しずつでも晩御飯食べて。母さんと希望梨ももうじき帰るだろうし」
「うむ…」
創介がそう言って箸に手を伸ばした瞬間、ケイの携帯が鳴った。
