酒屋…そんなに古臭い商売か?
ショーケースの前に立ってぼんやり考える。ビールがキンキンに冷えている。
早く飲める歳になりたい。
今はとりあえず、コーラを飲むしかない。
コーラをグイッと飲んで、ゲップした。
「も〜、あんたは店のもん勝手に飲んで…」
母が苦笑いしながら2階から降りてくる。
今は8P.M.。店はさっき閉店した所だ。
「母さん、店閉める時間早いんじゃない?」
稔はアルミ缶をグシャッと潰した。
「遅く迄開けとく人件費ないよ。家族経営なんだから」
たまに、短期で大学生のバイトに来てもらうだけだ。
「…でもコンビニにするんなら24時間経営になる訳だろ?」
稔はひしゃげた缶を見た。
「そりゃあね…。でもノウハウ教えてもらってやって行くんだから…」
「今コンビニって色んなサービスしてるだろ。母さんと父さん、そんなスピードに付いてけるの?」
缶をごみ箱に投げる。
「それはあんた達の力も借りるわよ。今はパソコン使えなきゃ何も出来ないものね」
母はそう言ってレジに近づき、今日の売り上げを見る為にジャーナルを出した。
働き者の指先が使い込まれたレジのボタンを押すと、従順に売り上げを発表し始める。ガチャガチャガチャ…と大きな音が立つ。お客に渡すレシートとはまた違う、まぁ店の売り上げ記録のレシートか、長いジャーナルが母の手元にあった。
「やっぱり高いビールは売れないわよね。今は発泡酒か第三のビールか…」
母がため息をつく。
「父さんは?」
稔はごみ箱の下に転がった缶を拾い上げた。
「今日は薬屋の玄さんの還暦祝いとか言って飲みに言ってる」
「えっ、玄さんてまだ還暦なんだ?」
「幾つだと思ってたのよ」
母は微笑みながらジャーナルをファイルに仕舞い込んだ。
売り上げ金を数え始めた。
「…商店街ってさ、どこも厳しいのかな」
稔がそう言うと、シーンとして冷蔵庫のモーター音だけが響く。
「…まぁね。今日はその辺の話し合いも兼ねてるみたいよ。商店街全体を活性化しなきゃ行けないしね。やっぱり大型スーパーが出店して来たのが辛いわよね」
「そっか…」
稔はつぶやいた。何も出来なくて歯がゆかった。
ショーケースの前に立ってぼんやり考える。ビールがキンキンに冷えている。
早く飲める歳になりたい。
今はとりあえず、コーラを飲むしかない。
コーラをグイッと飲んで、ゲップした。
「も〜、あんたは店のもん勝手に飲んで…」
母が苦笑いしながら2階から降りてくる。
今は8P.M.。店はさっき閉店した所だ。
「母さん、店閉める時間早いんじゃない?」
稔はアルミ缶をグシャッと潰した。
「遅く迄開けとく人件費ないよ。家族経営なんだから」
たまに、短期で大学生のバイトに来てもらうだけだ。
「…でもコンビニにするんなら24時間経営になる訳だろ?」
稔はひしゃげた缶を見た。
「そりゃあね…。でもノウハウ教えてもらってやって行くんだから…」
「今コンビニって色んなサービスしてるだろ。母さんと父さん、そんなスピードに付いてけるの?」
缶をごみ箱に投げる。
「それはあんた達の力も借りるわよ。今はパソコン使えなきゃ何も出来ないものね」
母はそう言ってレジに近づき、今日の売り上げを見る為にジャーナルを出した。
働き者の指先が使い込まれたレジのボタンを押すと、従順に売り上げを発表し始める。ガチャガチャガチャ…と大きな音が立つ。お客に渡すレシートとはまた違う、まぁ店の売り上げ記録のレシートか、長いジャーナルが母の手元にあった。
「やっぱり高いビールは売れないわよね。今は発泡酒か第三のビールか…」
母がため息をつく。
「父さんは?」
稔はごみ箱の下に転がった缶を拾い上げた。
「今日は薬屋の玄さんの還暦祝いとか言って飲みに言ってる」
「えっ、玄さんてまだ還暦なんだ?」
「幾つだと思ってたのよ」
母は微笑みながらジャーナルをファイルに仕舞い込んだ。
売り上げ金を数え始めた。
「…商店街ってさ、どこも厳しいのかな」
稔がそう言うと、シーンとして冷蔵庫のモーター音だけが響く。
「…まぁね。今日はその辺の話し合いも兼ねてるみたいよ。商店街全体を活性化しなきゃ行けないしね。やっぱり大型スーパーが出店して来たのが辛いわよね」
「そっか…」
稔はつぶやいた。何も出来なくて歯がゆかった。
