「ありがとう……ございます……奈緒さん、ずっと私のお姉さんでいてくださいね」
そんなこと言われたら、私も弱い。
すでに潤んでる目から涙が零れ落ちないようにと、なんとか耐えてきたけど結構きつい。
「もちろんだよ、雅恵は私の妹なんだから」
と、口に出したのがスイッチ。
堰を切ったように、涙が頬を流れ落ちていく。
こんな顔を皆に見られたくなくて、雅恵の肩を抱いた。お互いの涙が止まるまで、こうしていようと。
「ふたりとも、お別れじゃないんだから」
柔らかな声に顔を上げると、斎木さんの穏やかな笑顔。ほんのりと赤くなった頬はお酒を飲んだせいか、照れ臭さのせいか。
どちらにしても、斎木さんの顔にも幸せが滲んでる。
「しょうがないなあ……」
斎木さんの伸ばした腕に絡め取られるように、雅恵ちゃんが私の元をするりと離れていく。

