あたしと颯人が別れてから数日後。
沙奈恵と颯人は恋人になってた。


同じクラスで目の前で
楽しそうに話してる二人。

それを見るのが苦痛だった

まだ癒えない心が張り裂けそうで
いつも目を逸らしては逃げてばかりの
毎日が続いた。

初めは恨んだ。颯人のことも、
沙奈恵のことも。

あたしは信じていたのに、
彼は裏切った。彼女はあたしと
彼が付き合っているのを知っていても
あたしから颯人を奪った。

憎くて仕方なかった。

でも日が経つごとに感情が
薄れていった。

そもそも浮気されたのは
あたしにも責任があるんだ。と
考えなおすまでに回復していた。

あの時ぁあすればよかった。
こうしたらよかった。
なんて自分のダメな所が多くて

(あぁ。彼があたしを捨てたのは
これがあったからじゃないか。)


あたしは自分の未熟さに気付いた。

しばらく友達だけの日々を過ごした。
今までになかったくらい
友達と騒いで、充実してた。


2年生の夏の学園祭。

仮装パレードでテーマが
Disneyだった。あたしは
アラジンのお姫様のジャスミン役で

肩出しのへそ出しの
グリーンの薄い布で出来た服で
踊ることになった。

学園祭当日。


見事に雨が降っていて
一時見合わせたものの、卒業生
最後の学園祭で、大雨の中
仮装パレードは開催された。

必死に踊って、土砂降りの中
みんなで踊るのが楽しくて。

大きな声で掛け声だして
何度も何度も踊った。

そしてラストの踊る地点に移動
している途中、目眩がして
唇も青ざめ、体中の震えが
止まらなくなった。

頭の中が真っ白になって

気が付いたら学校の保健室に
つれられてた。

「大丈夫?岩崎さん。」

心配そうにあたしの顔を
覗きこんできたのは保健室の
大沢先生だった。

「あ、、れ、、?あたし、、」

毛布でぐるぐる巻にされ
身動きがとれない。

「あなたパレードの途中で
寒さで体が青ざめて、学校に
運ばれてきたのよ?」

先生が心配そうにあたしの
おでこに手を当て、
こくんと頷いて

「熱は、ないみたいね。」

真っ青だった唇も、少しづつ
赤みをおびてきて
顔もだんだん色づいてきた。

しばらくベッドに横になっていると
外からワイワイと賑やかな声が聞こえる。

生徒たちが戻ってきたみたいだ。

「、、あたしもそろそろ
教室に戻らないと。。」

あたしはムクッと起き上がり
ヨタヨタとベッドから降りる。

「大丈夫なの!?無理して
戻らなくても、荷物なら先生に
持ってきてもらうわよ?」


慌てて止めようとする先生に、
大丈夫。といって
保健室から出て行った。


フラフラとして思うように
あるけない。

教室に着くとまだみんなは
戻ってきていないみたいだ。


「、、、まだみんないないのか。」

壁によしかかってペタン。と
床に座り込む。

するとガラッ。とドアが開き
みんなが戻ってきた。

「ちょっと大丈夫?葵!」
「あ!葵ー!へーきなの!?」

心配して駆け寄る友達。


大丈夫、大丈夫。と
笑って返事をする。


「大丈夫か?これ貸してやるよ。」

バサッ。

頭から重たいものが降ってきた。

見ると男物のパーカーだった。


「、、え?いいの?」

パーカーを貸してくれたのは
クラスの猪戸 巧矢(ししど  たくや)


「、、ありがと、、」

着てみると、ぶかぶかで
袖もよれよれ。パーカーに通した
腕を鼻につけると男の子の匂いがした。

その感覚が不思議でどこか
愛しく思えた。


その日はパーカーを借りたまま
家に帰った。


次の日、帰って洗濯した
借りたパーカーを手に巧矢のもとへ。

「巧矢、これ。ありがと////」

「あぁ、別にいいよ、それより
お前、風邪大丈夫なのか?」

優しく声をかける巧矢に
パーカーを手渡す。


「うん、、おかげさまで。」

それ以来、巧矢とよく話すようになった
相談にのってもらったりして
愚痴も聞いてもらったりした。

クラスの友達に巧矢のアドレスを聞いて
メールをするようになった。


設定した着信音が鳴るたびに
携帯に飛びついて、
返事が来るたびに嬉しくなった。

日に日にメールの回数は増えていき
どんどんやりとりするうちに

巧矢のことを考えるようになってた。

(、、今日は返事遅いな。。)

(巧矢なにしてんだろ。。)


携帯を握りしめて眠れずに
ベッドに横になる。



(あれ、、もしかしてあたし、、
、、巧矢のこと、、、)

今まで忘れかけてた胸の奥の
ドキドキが、蘇る。

あたしは携帯を握り締め


(あぁ、そうか、、あたし、、)






ー恋しちゃったんだー