もう一度、逢えたら…

「ったく、わかったよ。

ネクタイだけで良いのかよ。

上着は?

あいつ
欲しがってなかったっけか?」


「う、上着はいいんだよ。

これは、……。」

なぜか
上着だけは
あげたくない様子の彼は
ぼそぼそと答えた後、

「いいから
それだけ渡しとけって。

頼んだからな!」

とぶっきらぼうに
そう言い、
もう話は済んだとばかりに、
ネクタイを
目前の彼の頭に
投げつける様に渡した。