駅に向かって歩くこと約1分。

「で、誰なの?好きな人って」

やっぱ忘れてなかったか……。

「うーんとね……」

答えるのを渋っていると

「同じクラスでしょ?!」

"ドキッ"

「わかった!!!!」

「わーーーーーー!!」

恥ずかしくなって大声を出した。

「何いきなり、ビックリした。」

その間、約3秒。

「中田くんでしょ?」

「うへっ?」

しまった。動揺した。
もーいいや、美紅なら言っても!

「うん、中田くん。私の好きな人…」

「いいじゃん!お似合いだよ♪」

意外すぎる言葉だった。
私と中田くんが?オニアイ?

「いつから?どんなとこが好きなの?」

美紅の口は止まることなく喋り続けた。

それについていくだけでも疲れた。

「もちろん喋ったことあるよね?」

痛いところをつかれた……
黙っていると

「まさか、ないの?!」

「…………うん」

クスッと美紅が笑う。

「私が人見知りなの知ってるでしょ?」

苦し紛れの一言にすぎなかった。

「中学のときは普通に男子と喋ってたじゃん」

「ほんとだよ、なんでこんなに喋れなくなったんだろ?」

「よしっ!うちがチャンスつくってあげる!」

美紅から変なスイッチの入る音が
聞こえてきた。

"カチッ"