「小南の好きな人は………っ」
私は紘也と目が合わないように下を向いた。
紘也を渡したくない……渡したくない、けど……。
やっぱり、私を……こんなちっぽけで無力な私を、信用してくれてる紘也や小南を裏切るなんて……私には……出来ない。
「………わかんない、よ」
声が震えないように頑張って声を振り絞った。
「なぁーんだ、聞いたんじゃねぇのか」
紘也は笑って、私の両肩から手を離した。
「さ、さすがにそこまでは聞けなくてさ……あはは……」
「ま、そうだよなー。それに、もし俺じゃなかったらヘコむし聞かなくていいよ」
あはは、と笑って紘也は私の席に座った。
「ちょっと紘也、そこ私の席だよっ」
「いいじゃん、自分の席に帰るのダルい」
もう……紘也ってば調子いいんだから。



