【完】キミに隠した恋するキモチ。







ココアを飲んでいると、成月くんと一緒に過ごした昼休みを思い出される。
たしか初めて一緒に屋上で食べたときは、ゴキブリのフィギュアで驚かされたんだっけ……。
それからお父さんやお母さんのことを聞いたり、一緒に耳をすませて音を聞いたり……。
楽しかったなぁ。



どうしよう、涙でそう……。




「……っダメ」




もう泣かないって決めたんだ。
泣くぐらいなら笑顔でいる。
それが成月くんに再会するまでの目標だ。


泣いたってきっと、成月くんは喜ばない。



私、1人でなにかするのなんて慣れっこだったはずなのに、今ものすごく寂しい。
成月くんがいないと、寂しい。



素直に寂しいって言えるようになったのも、成月くんのおかげだ。
前までの私は自分の本当の気持ちを言わなかったから……。



成月くんのいない生活はやっぱりなにか物足りない。
そう感じるたびに成月くんの存在の大きさを実感する。



彼との時間は、私の生活の一部だったんだ。




昼休みが終わって、放課後になっても私の心はまだ落ち着かない。




「小春~!今日一緒に帰らない?」




小南と紘也が誘ってくれた。
でも……。



「ごめん、今日は1人で帰るね」



私は気分が乗らなくて、断った。