【完】キミに隠した恋するキモチ。







―――小春へ。




小春、ごめんな。
なにも言わずにニューヨークに行って。
小春にもちゃんと言わなきゃってずっと思ってた。
でも小春の悲しむ顔を見てしまったら、絶対ニューヨークに行けないと思ったからなにも言わずに行くことにしたんだ。




実はな、1週間ほど前に親父がまた倒れたんだ。
しかも今度は意識が戻らなくてさ。
俺、そのときに初めて親父と病院に行った。



そしたら、親父がずっと重い病気だったのに俺に隠してたってことを知った。
で、とりあえず親父は一命を取りとめたんだけど……医者にニューヨークの病院に入院することをススメられてさ。
じゃないと、親父の命がやばいって言われた。



だから……ニューヨークに行くことを決めた。
ちょうど、親父のお姉さんがアメリカに住んでるから、俺はそこでお世話になることになった。
親父の体調によっては、もう日本には戻らないかもしれない。
戻れたとしても何年後になるかもわからない。



俺が小春をフッた理由はそれなんだ。
もう会えるかわからないから……付き合っても小春が苦しいだけだって。
実は俺、小春のこと好きだったんだよ。
まぁ、鈍感な小春は気づいてなかっただろうけど。




傷つけてごめんな。
俺がいなくても、ずっと笑顔でいろよ。
俺は小春の笑顔が好きだから。



じゃあな。




―――流星より。