「……小春、ごめん。少しだけ……このままでいさせて」




そう言った成月くんの声はなぜか震えていて、今にも消えそうだった。




「……うん」




私はゆっくりうなずいて、目を閉じた。




成月くんは今、なにを思ってるんだろう。
なんでそんなに儚げな笑顔で、声が震えているの……?
成月くんの匂いや温もりを感じられるのもこれで最後のように感じて……。
すごく、切ない気持ちになった。



成月くんはここにいるのに……なんだか寂しい。




その理由はわからないけど。




ずっと……成月くんの隣にいられたらいいのに。
ずっと……成月くんの笑顔を見られたらいいのに。




そんな風に思う私って、欲張りなのかな。




「……そろそろ、教室戻るか」




「うん、そうだね」




成月くんが私を解放した瞬間、屋上にいた鳥が空に羽ばたいた。